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ぶどう畑通信
202211
〜余市のぶどう畑から〜
写真1.ピノ・ノワールの腐敗果。このようにピンセットで一粒ずつ腐敗果を取り除いていきます。
写真2.ピノ・ノワールの梗(ぶどうの房の軸)を取り除いて粒だけにします。赤ワインは果皮や種を含んだまま、この状態で発酵を開始させます。
10月25日で今年の収穫を完了しました。9月11日のスパークリング用のピノ・ノワールの収穫に始まり、ピノ・グリ、シャルドネを収穫し、最終日はスティルワイン用のピノ・ノワールを収穫し、2022年の収穫シーズンを終えました。
さて今年のぶどうの出来ですが、8月の低温で少し成熟が遅れましたが、9月に入ると乾燥した日が多く、雨が少なかったため、ぶどうは十分に成熟しました。さらに乾燥した気候であったため、病害の発生も少なく、健全で良好なぶどうが収穫できました。成熟に従って酸が減少していきますが、今年は酸度の減少が緩やかであったことが特徴的でした。
収穫の作業ですが、グループ会社を含めた社員や友人・知人などのボランティアの方たちのべ約150名の人員で一房ずつ手で収穫いたしました。収穫時にはカビが生えていたり、腐敗している実がありますが、そういったものを見つけるとピンセットで一粒ずつ取り除き、健全な果実のみを収穫していきます。ここで取り除いた腐敗果はそのまま畑に捨てるのではなく、専用の袋に入れ、畑外に持ち出し、病害菌が畑内で広がらないように留意しています。良質のワインにするために良質のぶどうが必要ですが、そのぶどうを収穫するためにこういった細やかな気配りを行っています。
病害の一つとして灰色カビ病があります。ケルナーなどの白ワインの場合はこの灰色カビが乾燥した条件で発生すると貴腐ぶどうと呼ばれるぶどうになります。そうなると灰色カビがぶどうの表面に作用し、ぶどう果実の水分が蒸散することを促進し、果実の濃縮度を高めます。したがって白ぶどうの収穫の際には貴腐ぶどうはそのまま収穫します。今年もケルナーやピノ・グリではある程度の貴腐が発生していました。
一方、同じ灰色カビでもピノ・ノワールのような黒ぶどうの場合は灰色カビが色素を分解し、赤ワインとしての良好な色調が得られなくなりますので黒ぶどうでは貴腐ぶどうとは言え、確実に取りのぞきます。
こういった収穫作業を経て、ワインを仕込んでいるところですが、ぶどうを除梗した段階で非常にフレッシュな香りが広がり、良好なワインの出来が期待できます。
これで畑は束の間のお休みとなりますが、落葉が進んだ頃に畑では冬季剪定の作業が始まります。
(ニッカ余市ヴィンヤード 山本記)