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ぶどう畑通信
202212
〜余市のぶどう畑から〜
写真1.短梢剪定の樹。上に短い枝が延びていますが、これが短梢と言われる所以です。この枝から翌年春に2芽ほどの新芽が出て、そこにぶどうの実がなります。
写真2.長梢剪定の樹。長く伸ばした枝に芽がついています。この芽は10芽ほどありますが、ここから翌年春に新芽が出てきて、それぞれにぶどうが成ります。
2022年の収穫が終わりましたが、この機に今年の気候をデータから振り返ってみたいと思います。余市の気候データですが、2022年と2021年のデータ比較は当社圃場を中心に見ていきますが、当社圃場でデータ収集を始めたのは2020年途中からですので、まとまったデータは2021年以降しかありません。そこで、過去との比較は余市町に設置されているアメダスのデータを使用しました。ここでは前者を圃場データ、後者をアメダスデータとして区別します。少しややこしいですが、ご勘弁ください。
まず積算気温について2022年の圃場の有効積算気温は1,429℃となりました。昨年の圃場の有効積算気温も1,439℃と2年続けてリージョンUに区分されるほどの気温となりました。余市はリージョンTと言われてきていますが、当社圃場のデータを見る限りそうとばかりも言えないようです。ただ、アメダスデータによると2022年の有効積算気温は1,360℃でしたので、こちらではリージョンTです。なおアメダスデータでの平年の有効積算気温は1,165℃ですので、ここにきて気温の上昇が著しくなってきているのを示しています。
これからの気温の変化がどうなっていくのかは非常に心配です。極端な変化を防ぐために自分たちにできることは少しでもやっていこうと考えています。そうでなければぶどう栽培、ワイン製造を持続していけなくなると危惧しています。
一方生育期の降水量は2022年の圃場データでは644o、アメダスデータによると平年値が706oと極端な増減がなく、良好な傾向にあります。
全体的に2022年は6月に気温が低く、降水量も多い不順な初夏でしたが、その後は好天となり特に収穫期の9月、10月は2021年に比べて少雨で、ぶどう果に病害の発生も少なく、健全で成熟したぶどうを収穫できたgood vintageでした。ただ、初夏の気温が低かったせいなのか不明ですが、酸度低下の度合いがゆっくりだという特徴を持った年となりました。
収穫に引き続き、仕込みも順調に進行し、現在アルコール発酵はほぼ終了しています。ワインによってはこのあとタンク熟成をするもの、樽に移すものなどありますが、いずれも順調に熟成に向かっています。
圃場では剪定を進めている最中です。剪定方法にはいろいろありますが、当社圃場ではブロックにより短梢剪定と長梢剪定を取り入れています。それぞれに長所、短所がありますが、当社圃場で、またそれぞれの品種にとってどちらが適しているのかを見極めながら進めているところです。
(ニッカ余市ヴィンヤード 山本記)