ニッカウヰスキーの創業者である竹鶴政孝は、日本の本格的なウイスキーづくりに生涯を捧げました。1918年(当時23歳)にスコットランドに単身で渡り、多くの蒸溜所を訪ねてウイスキーづくりについて学びました。1920年に帰国した竹鶴政孝は北海道余市に蒸溜所を建てることを決心し、1934年にニッカウヰスキーの前身となる大日本果汁株式会社を設立しました。

1936年からウイスキーの製造を開始し、1940年にモルトウイスキー「初号ニッカウヰスキー」が誕生しました。その後も理想のウイスキーづくりにこだわり続け、1960年代に入るとモルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドするブレンデッドウイスキーの製造を実現するためにカフェ式連続式蒸溜機を導入し、カフェグレーンをブレンドしたブレンデッドウイスキー「新ブラックニッカ（１級）」を1965年に発売しました。竹鶴政孝は1979年(享年85歳)にこの世を去りましたが、その志を引き継ぎ、ニッカウヰスキーは品質にこだわったウイスキーづくりに注力しています。

「ザ・ニッカ」ブランドは創業80周年を迎えた2014年に誕生しました。創業者であり初代マスターブレンダーでもあった竹鶴政孝から継承したブレンド技術を生かし、国内の蒸溜所やスコットランドのベン・ネヴィス蒸溜所などでつくられた多様な原酒を使ったブレンデッドウイスキーです。通常のブレンデッドウイスキーはモルトよりグレーンの使用比率が高いものが一般的ですが、現在展開している『ザ・ニッカ』はモルトの比率をグレーンより高くし、モルトのふくらみのあるコクとグレーン本来のやわらかな甘さとの調和が特徴です。ボトルは重なり合う着物の衿もとをイメージし、複数のモルトとグレーンが重なり合いを表現しました。

今回誕生した『ザ・ニッカ リミテッド』は本年チーフブレンダーが交代したことに伴い、ブレンド技術の継承に焦点を当てて開発したブレンデッドウイスキーです。ウイスキー原酒は原料や蒸溜方法、熟成に使用する樽やその保管場所によって異なる味わいとなります。年月を重ねるごとに樽の中の香味も変化するため、ニッカウヰスキーのブレンダーは千以上の原酒を毎年評価した上で、さまざまな技術を駆使して何種類もの原酒を繊細にブレンドし、コンセプトに合致する味わいの実現を目指します。今回の商品は二人のチーフブレンダーにとってゆかりのある原酒をブレンドすることで、両ブレンダーとニッカウヰスキーの先人たちがこれまでつくりあげてきた原酒の多様性を表現しました。今後も「ザ・ニッカ」は原酒の多様性を愛するブランドとして、ニッカウヰスキーの魅力やウイスキーの多様な楽しみ方を届けていきます。