*Firefox最新版をご利用のお客様へ* ページの背景画像が正しく表示されない場合、こちらをクリックお願いします。

 

(ここから本文です。)

ニュースリリース

 

ニュースリリース2009年

2009年09月14日
アサヒビール株式会社

飲酒時に食事を摂取することで、アルコールがもたらす生理的影響が緩和
〜「食べながら飲むと酔いがまわりにくい」を飲酒試験にて立証〜

 アサヒビール株式会社(本社 東京、社長 荻田伍)の「食の基盤技術研究所」は、日本医科大学・法医学教室との共同研究により、飲酒時に食事を摂取することでアルコールがもたらす種々の生理的影響を緩和できること、また、焼酎とビールを試験に用いることで、飲む酒類によってその生理的影響が異なることを明らかにし、来る9月18日(金)〜20日(日)開催の日本臨床栄養学会にて発表します。

 アサヒビール(株)では、「適正飲酒の啓発活動」をCSR活動の優先取り組み項目の一つと位置付け、積極的に推進しています。「食の基盤技術研究所」では、この「適正飲酒の啓発活動」の推進を科学的な知見を持ってバックアップすべく、「アルコールと健康」領域の研究活動に取り組んでいます。

 アルコール摂取がもたらす健康への影響については良い面と悪い面があることが知られています。アルコールがもたらす恩恵を享受するには、過度な飲酒を控え適正飲酒を心掛ける必要があります。「食の基盤技術研究所」では、アルコール摂取による生理的な影響を、個々人のアルコールに対する体質や飲酒の諸条件を踏まえて明らかにし、それを適正飲酒啓発につなげることで、飲酒による社会的・健康的諸問題の発生予防と、よりよい飲酒文化の構築を目指して研究を推進しています。

 日本人のアルコールを代謝する能力は、遺伝子のわずかな違い(遺伝子多型と呼ばれています)によって異なることが知られています。よって、日本人に対するアルコールの生理的影響を調べるには、この違いを考慮する必要があります。私たちは、この度、お酒が普通に飲めるタイプ(アセトアルデヒド代謝遺伝子が正常ホモ型:ALDH2 1/1で、日本人の約6割程度)の健常成人男性をまずは対象とし、飲酒後のエタノール濃度をはじめ各種の生化学検査値の経時的変動等について詳しく検討を行ないました。

【飲酒試験の概要】

対象 ALDH2 1/1型の40〜60歳の健常成人男性15名
(平均年齢:45.5歳、平均肥満度(BMI):24.1)
試験食品 ビール、甲類焼酎、テストミール(日本糖尿病学会にて開発された負荷試験用の エネルギー・脂質調整セット食)
試験群 5群(ビールのみ、焼酎のみ、ビール+食事、焼酎+食事、水+食事)

 試験日の朝、空腹(12時間何も食べていない状態)のまま試験会場に来て頂き、ビールあるいは焼酎(アルコール量として0.4g/kg体重)およびテストミールを摂取後、30分あるいは60分間隔で採血や血圧測定等を行いました。得られた血液について、血中エタノール濃度や各種血液生化学検査項目(血糖、中性脂肪、乳酸、ピルビン酸等)の測定を行いました。被験者15名が一定の間隔をあけて5回の試験をすべて行いました。

【結果の概要】

1.血中アルコール濃度の経時変化

「焼酎のみ」(-▲-)で摂取した場合において最高血中濃度が最も高くなりました。食事の摂取(-■--■-)は体内の急激なアルコール濃度の高まりを抑え、体内からアルコ ールが抜けるのを早めました(アルコールが体内から消失した時間を計算すると、「焼酎のみ」:3.7時間、「ビールのみ」:3.3時間、「焼酎+食事」:3.1時間、「ビール+ 食事」:2.9時間となった)。特に「ビール+食事」(-■-)の摂取方法が今回の条件の中では最もアルコール濃度が低いため影響が小さく、酔いを緩和する飲み方と言えます。

2.血糖値の経時変化

 「焼酎のみ」(-▲-)で摂取した場合のみ有意な血糖値の低下が見られましたが、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの作用によるものではないことが分かりました。重要なエネルギー源であるブドウ糖の体内 での生合成(糖新生)をアルコールが抑制することで血糖値を低下させることが知られており、今回の結果もそれを支持するものでした。長い空腹状態で飲酒をすると血糖 値の低下が過度に進むと言われています。しかし、今回の飲酒条件では焼酎単独で飲む場合のみマイルドな低下が見られました。



3.乳酸/ピルビン酸比の経時変化

 アルコールの代謝は体内においてエネルギーの産生に重要なピルビン酸を低下させ乳酸を増やすことで乳酸/ピルビン酸比(通常は10程度)を高めます。この比率が高まると体内 からのアルコールの消失が遅くなることを明らかにしました。また食事摂取(-■--■-)でこの比率が通常の状態に回復するのが早くなることが分かりました。「焼酎のみ」(-▲-) と「ビールのみ」(-▲-)を比べた場合はビールの方が回復が早いことも分かりました。




 飲酒がもたらす種々の生理的な変化については、経験的または動物実験データに基づいて語られることが多く、多種多様な条件下でヒトが飲酒した場合の生理的な変化に関する科学的根拠は乏しいのが現状です。本研究は、日本人を対象とし、アルコール代謝に関わる遺伝子型を特定して、酒類、食事、飲酒量、性別、年齢、飲酒歴など想定される個々の具体的な条件で飲酒をした場合にどのような生理的な変化が生じるのかを科学的に調査するという観点で行っています。今回の試験ではお酒に強いタイプの男性を対象者として適正飲酒範囲のアルコール量を摂取した結果、食事を一緒に摂取するとアルコールの急激な濃度上昇を抑えて消失を早めることで、種々の生理的な影響を緩和できることが確認されました。さらに、糖質を含む醸造酒であるビールと蒸留酒である焼酎とでは、同じアルコール量を摂取しても生理的な変化が異なることが分かりました。

 アサヒビール(株)では、今後も様々な飲酒条件による生理的な変化について調査研究を続けます。そして、これらの研究成果を適正飲酒の啓発活動を通じて、お客様への飲み方提案につなげ、よりよい飲酒文化の構築を目指します。

【本件に関するお客様からのお問い合わせ】

アサヒビール株式会社 お客様相談室 フリーダイヤル:0120−011−121