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平成11年11月15日
アサヒビールグループの財務体質改革・強化前倒し実施
−グループ内の含み損を抱える運用資産を本年中に一括処分−
アサヒビール株式会社
 

 アサヒビール株式会社(本社 東京、社長 福地茂雄)は、損失引当の拡大、連結決算における支配力基準の導入、金融商品の時価会計の導入等の国際会計基準の段階的導入に向けて、早期に財務体質の改革と強化を進めることを目的に、グループ内の含み損を抱える運用資産を本年中に一括処分することを決定しましたのでお知らせします。

 アサヒビール(株)は本年9月1日に中期経営計画を発表し、2001年までに含み損を抱える運用資産等の処分を実施することを公表していますが、この計画を1年前倒しして2000年までに実施することとしたものです。この実施により、懸案であったグループを含めた財務体質改革・強化をほぼ完了させるとともに、本年末の連結金融債務残高を前年に比べて約1000億円減少させることができます。

 今回一括処分する運用資産は、グループファイナンス会社であるアサヒビールファイナンス株式会社の特金等の金融資産と東京工場用地の再開発準備会社である株式会社エービーサービスが運用している有価証券です。今回の一括処理によりグループ内の含み損のある運用金融資産は全て処分されることになります。

 アサヒビールファイナンス(株)は、株価等の大幅な下落に伴い運用金融資産の含み損が拡大し、財務体質が悪化していましたが、これまではアサヒビール(株)による一部債権放棄、極度額1800億円の無利息貸付の金融支援等により財務体質の改善に努めてきました。しかし、市場金利の低下による運用収益の悪化等もあり財務体質改善が遅延していること、及び時価会計の導入に備える等の理由により、現在運用している金融資産を処分することにしました。本年アサヒビール(株)は同社の処分損を対象に本年上期実施の35億円を含めて年間で約426億円の債権放棄を実施して、早期の財務体質改善を実施することとしたものです。この結果、今期決算においてこの約426億円の支援損失を特別損失に計上することにしました。また、この措置により従来より継続してきた極度額1800億円の無利息貸付の支援は終了することになります。なお、同社は今後はグループファイナンス業務に特化していくことになります。

 (株)エービーサービスは、平成3年に将来の東京工場の再開発を想定して、その準備のために設立した会社です。設立にあたっては、アサヒビール(株)より、東京工場の土地の一部と借入金、並びに借入金の共同担保に供していた有価証券を一体として現物出資しました。
 しかし、平成4年以降のビール販売量増加に伴い生産体制が逼迫した状況が続いたため、東京工場の再開発計画の準備は順延され、今日に至っています。しかしこの間に、地価の下落に加えて株式市況の低迷により、同社の財務体質は急速に悪化していきました。
 一方今般、全社的な生産能力の増強、国際競争力のある高生産性の実現を目指して、神奈川新工場の建設・東京工場の移転を決定したことに伴い、東京工場用地の活用法について検討を行いました。その結果、不動産証券化による売却が可能との見通しが立ったことから、グループ全体の財務体質改革と強化を進めることにしました。これに伴い、再開発準備のために設立した同社の使命は終了したため清算することにしました。
 この結果、アサヒビール(株)は今期決算において、同社の保有する有価証券処分損を含む約353億円の整理損失を特別損失に計上することにしました。

 当社はこれらグループ内の含み損を抱える運用資産の一括処理のために、東京工場用地の不動産証券化による売却、および当社が保有するアサヒ飲料株式会社の株式の一部を売却することにしました。

 東京工場用地の売却は、「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律」(SPC法)を適用し、不動産証券化による売却を行います。今期決算においてこの売却による固定資産売却益約127億円を特別利益に計上する予定です。
 併せてアサヒ飲料(株)の株式を6百万株売却し、今期決算においてこの売却による子会社株式売却益約50億円を同社上場時の子会社株式売却益87億円とともに特別利益に計上する予定です。

 以上の財務体質の改革・強化の実施により、今期の業績予想を修正することになります。
 単体については、年間売上見込み箱数を198百万箱、売上高1兆500億円、経常利益660億円、当期純利益8億円にそれぞれ修正します。なお、配当については予定通り年間12円配当を実施する予定です。
 また、連結については、売上高1兆4090億円、経常利益710億円、当期純利益 35億円にそれぞれ修正します。

 なお、今回の財務体質改革・強化の前倒し実施による中期経営計画の上方修正の詳細は以下の通りです。


<中期経営計画目標:単体> (単位:億円)
  2000年 2001年 2002年 2003年 2004年
経常利益 修正前 780 900 1,150 1,190 1,250
修正後 870 1,020 1,150 1,190 1,250
増減 90 120 - - -
当期純利益 修正前 160 220 390 490 610
修正後 180 280 420 570 610
増減 20 60 30 80 -



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