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カクテルのうんちく

温故知新

カクテルという言葉が
今のような意味で使われ始めたばかりの頃…。

カクテルとは「お酒に砂糖と水、ビターズを加えた刺激的な飲み物」

シャンパン・カクテル

その昔、カクテルという言葉がいまのような意味で使われ始めたばかりの頃、カクテルとは「お酒に砂糖と水、ビターズを加えた刺激的な飲み物」のことでした。

そんな当時の様子は、たとえば映画『カサブランカ』に登場した〈シャンパン・カクテル〉がよく伝えてくれます。

いまでこそ角砂糖にビターズを染みこませたものをグラスに落として、シャンパンを注ぐというレシピが主流になっていますが、昔は別に角砂糖へのこだわりなどありませんでしたから、グラスに砂糖とビターズ、シャンパンを入れて、かき混ぜておしまい。人によってはブランデーを足したり、あらかじめ砂糖を水やビターズで溶いておくという工夫をしたくらいでした。

カクテルは華やかなものへと変貌

マンハッタン

ところが、それほどシンプルだったカクテルも、アメリカが経済的に成長し、手近に使える材料が増えてくるにつれてだんだん華やかなものへと変貌していきます。

〈マンハッタン〉などその好例でしょう。当時流行していたライ・ウイスキーに、赤い色のイタリアン・ベルモット。なるほど当初のレシピにはビターズが要求されていますが、シロップ(砂糖)は甘党の客へのオプション扱いですし、いまでは使われなくなったマラスキーノやキュラソーの文字も見えます。

一説によればこれは1876年の創作だったそうですから、現存する最初のカクテルの記録からは実に七十年の月日が流れていました。

オールド・ファッションドとしてよみがえる

そんな時代に、「男が赤いカクテルなんぞ飲めるか」という思いがあったのかどうか、ウイスキーに砂糖と水、ビターズを加えただけのカクテルを所望する客があらわれました。

それは、ケンタッキー州ルイヴィルのペンデニス・クラブに通っていたジェイムズ・E・ペパーだったとも、別の地の別の男性だったともいうのですが、それを所望したのがその人ひとりだけでなかったことは、〈オールド・ファッションド〉という名でよみがえったこのカクテルがたちまち世の定番になったことが証明しています。

温故知新が似合うカクテル

オールド・ファッションド

氷など高嶺の花だった往時をしのんで、シェイカーすら使わない、古風なカクテル。

ペンデニスのバーテンダーは、それではあまりに古風すぎると、当時定番だったレモンとチェリー、一説によればパイナップルまで飾ったそうですが、その小細工は、いまでは永遠の定番たるレモンを除いて失われました。

けれども、〈オールド・ファッションド〉自体は、時代の流行にあわせて少しずつ飾りを変えながら、いまに至るまで生き残っていますし、あらわれては消える無数の流行に疲れた人に、安心と、満足と、驚きを与えています。

温故知新という言葉がこれほど似合うカクテルは、ほかにはないでしょう。

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